雑記などのコラムです。
5月雑記(『誰でも簡単にできる護身講座』に興味がある人へ)
半年くらい前に「もう一度youtubeがどーの」と言ってたわけですが、
結局やらないんだから呆れたモンです。(←自虐(笑))
まぁただ、「どんなコンテンツなら面白いだろう」ってことだけはかなりの頻度で考えてはいます。
テコンドーや格闘技をあまり知らない人に「格闘技のどんなことなら知りたいですか?」みたいなことも
聞いたりしてみたり・・・。

すると、わりと多く要望があるのが、『誰でも簡単にできる護身講座』。
物騒な世の中、急場の際に自分の身は自分で守れるように・・・との思いは、
格闘技をやらずとも、誰もが大なり小なり抱いているということなのかなと思います。
が・・・ですよ?
簡単にできる護身術・・・というものは存在しないことを、この分野に興味のある方は、まず認識すべきです。

私もテコンドー協会から出なければならなくなってからいろんな格闘技に触れましたし、
なんなら中国人民解放軍の武道指導教官という方とも一時期お付き合いがありました。軍隊格闘技ですね。
だからテコンドーしか知らない・・・というわけではないという前提で話しますが、
まず共通して言えることは、「簡単に身につくものなどはない」ということ。
つまり、『簡単にできる護身』もなければ、「これをやれば簡単に自分の身が守れます」と
初心者さんに謳ってるものがあれば、そんなものは非現実的だと、私は言いたい。

間違ってほしくないのは、
それを謳う記事や動画がすべていい加減だと言ってるわけではないんです。
紹介するからには確かな技術なのだろうし、(すべてを確かめちゃいませんが))実際に有効なものも
多々あるのだと思います。
ただ、それを「こんなに簡単にできますよ。明日から実践してみてくださいね」と言われても、
その技術は、少なくとも明日使える技術ではないと断言しておきます。
身体は、やり方を覚えたくらいでは自然とは動かないものだからです。

これ、たぶん、他の分野に例えればすっごく簡単に納得してもらえると思うんですよ。
宙返りの方法を"適切に"聞いたからとて、十分後、いやいや、明日からでも、すぐにできるようになりますか?
水泳のバタフライだって、銃の狙い方だって、車のドリフトの仕方だって、
そりゃぁ"適切な"やり方というものはあるでしょう。でも、それを適切に知ったからとて、
すぐできるかといえば話は別ですよね。効果的にやるならなおさら。

それと同じです。特に護身は他人が絡むことですし、広義の意味で自分を守ることを想定するなら、
シュチュエーションは実に多岐にわたります。一人なのか二人なのか、武器を持っているのかでかいのか。
なにより、何か護身が必要な状況に陥った時、自分が自分自身のもてるポテンシャル通りに動けるか・・・。
でかいヤツに大声ですごまれて、かつ身体が覚えている通りのことができるか。
相手が武器を持っていて、かつ身体が覚えている通り動くか。
・・・
現実世界はドラクエじゃないんです。力が255あってすばやさが255あっても、
身体が萎縮してしまえば、実力なんざ100も50も出ないのが本当の人間です。
いわんや、知識だけでは、どうにもならない。

だから『護身』が『誰にも簡単にできる』はずがない。これを、『護身』を考えたい人はまず認識すべきです。
やり方だけ教わって、自分で自分の身を守れる気になってるのが一番危ない。
もっといえば、ちょっと練習したくらいでもどもなりません。
頭で「こういうときはどうやるんだっけ」と考えているうちはそんなの使えるはずもなく、
何度も何度も積み重ねて、気がついたら出ちゃってた・・・くらいまで昇華させなければ使えません。
それも、ゆっくりした約束練習ではなく、実戦に即した速度で、他の攻撃も想定しながら身を守れなければ、
実戦には使えませんよね。
本当に身を守らなければならないなら、相手は本気でつっかかってくるわけですから。

それと、よくある『護身講座』は相手の一手に対する対処しか教えません。
「こうきたら、こうする」といった流れですが、「その後どうするの?」という問いに答えているものってあります?
軍隊格闘技などだと、拳銃を突きつけるところまでをセットにして行ったりしますが、
いやいや拳銃なんてもってねーんだから、たとえ相手をなんらかで「痛てててて」ってさせても、
次がなければ相手は逆上してさらに襲ってくる可能性もあります。
警察くるまで「痛てててて」にさせておけるんならいいんですが・・・。
(昔、広い駐車場を持つお店で、夜、万引きが逃げ出したのを追った店員さんが柔道をやっていたようで、
追いついたかと思えば相手を引っ掛けて倒し、見事な袈裟固めを極めて万引きを取り押さえたんですよ。
でも夜の駐車場。なんと周辺には誰もいない。たまたま私(だけ)がいた(通りかかった?)んで
「他の人呼んできます?」って聞いたら「お、お願いします!!」ってなって事の無きを得た?んですが、
あれ、誰も通りかからなかったらどうしてたんだろう・・・)

前もどこかで言いましたが、自分の身を完全に確保できるまでを『護身』というなら、
相手が立ち上がれないくらいの打撃を与えてさっさと逃げてしまうのが一番だと思うんですが、
そこまでをもって『護身』とするなら、これはもう、素人さんのお仕事じゃないことは明確だということが
分かっていただけると思います。

『護身の知識を身につけることなんて無駄だ』と言ってるんじゃないんです。
でも、本当に自分の身を守りたいのなら、『簡単』ではないし、知識だけでは駄目だってことは分かった上で
情報を収集すべきだと思います。
そして、動画とか見て、一人で、「こうかな?こうかな?」ってやってても、実戦ではほぼ役に立たない。
ちゃんと対面で、厳しく現実を見せてくれる教室に通うことが大事だと思うし、
その中でちゃんと痛みってどういうものかってものを教えてもらわなければ、
たぶん、いろいろなものの実感がわかないし、翻って何かあったときに冷静に対処することが
できないんじゃないかと思うんですよ。

『護身』は見て覚えるもんじゃないです。どこかで記事や動画を見て必要に感じたら、
どっかの道場に通ってください。(←わざわざyoutubeにアップするネタを潰してしまう人)
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