雑記などのコラムです。
9月雑記(意識をしよう)
格闘技の選手を高橋涼介(←誰だよ(笑))流に分けると

1、本能のみで戦うのが素人
2、練習した基本技術がだいたい出来て初心者
3、意識をしないとできない技術を駆使するようになって中級
4、上級ともなると技術とかじゃないわずかな差で勝敗を決める

・・・とか、言えるでしょうか。
漫画やゲームじゃないので、実際はそんな簡単なもんじゃないとは思うのですが、
こう分けると各階層には結構大きな隔たりがあります。

いつかのコラムでも書いたと思うのですが、基本技術はだいたい三年ほどで身につきます。
つまり「2」まで三年かかるってことです。三年で初心者?・・・初心者とか言うなよ。
・・・ってくらいで、だいたい武道家は黒帯を取ります。
よく「黒帯からが本当のスタート」といいますが、そんなとこです。
(厚木道場の人たちは「青帯」がその辺に該当すると思ってください)

ここからが難しいのです。
これも以前のコラムで書きましたが、0が1になる、出来ない蹴りが出来るようになる、
・・・こんなふうに上達が分かりやすかった初心者さん達成の道のりに比べ、
「技術自体が難しい、できるようになっても地味」という状態が生まれてきます。
だから、ここがひとつの山場で、『スタート地点はライトユーザーの墓場』といえる
難所だったりします。ま、それはいつかのコラムとの重複説明なんでそこまでにして・・・。

そのライトユーザーが得た技術なんて技術なんかじゃない、とはいいません。
が、その技術を大工さんに例えて、
『大工道具の使い方が分かった状態』と、『それで自分の創造した家を建てられる状態』って
ぜんぜん違いますよね、きっと。
道具の使い方は、たぶん時間をかけさえすれば誰にでも分かるんだと思います。
もしくは、素質があれば、パパッと覚えられてしまうかもしれない。
ここまでで満足する人に家は建てられません。

そこから先、
『習得するのは難しいけど、一度すれば、追いつかれることが困難な技術』
『時間をかけて意識をしていかないと出来ないこと、心理的に出来にくいこと』
を、習得しに来ることこそが、『本当に格闘技を学びにくること』なんだと思うんですよ。
だから、先ほど言った、『黒帯が本当のスタート』だといわれるのだと思います。

練習に来てて、
「え、そんな局面でそんなことするの?(出来るの?)」
と思う時ってありませんか?例えばそういう技術です。
自分にとって「ありえん」と思う技術は、される側にとっても「ありえん」わけで、
想定の範囲内、つまり「ありえる」ことばかりやっても、そりゃ実力は頭打ちになります。
ただし、言うのは簡単。実際、それを実行することは簡単なことじゃありません。
「ありえん」技術ですからね(笑)。

それを習得するためには、やりたいと思った習得困難な技術を、意識して意識して、
いつもいつも頭の片隅に置いて練習するしかありません。
「試合になったらそんな技術忘れてた」というレベルでは絶対に身にはつかず、
とにかく、その技術が使えると思ったシーンでは無理してでも使い続けるようにするしかない。
失敗は成功の母だし、百回やって百回失敗するなら、そのタイミングではやってはいけない
ということが分かります。

例を挙げます。
パンデトルリョチャギ(後ろ回し蹴り)を当てられるようになりたいとします。
(私が言いたい技術はもっと上の技術ですが、説明がわけわかんなくなるので、
とりあえず簡単なところで説明します)

そうしたら、組手中、チャンスとあれば何でもかんでもパンデです。
当ろうが外そうがいい。どんどん使います。全然当んない。
それはつまりタイミングが悪いからなのですが、百回同じ場面で使って当らないのなら、
一つ「そのタイミングでは当らない」ということを覚えるわけですよね?
・・・ということは、百回やった分、「そのタイミングでは当らない」という、
試してない人にはわからないことを一つ、自分はおぼえたことになります。
「正解が十に一つ」であれば、「九に一つ」に減る。
そうやって、「一に一つ(そこまでは困難すぎますが)」まで行っていけば、そこまで正解が
見つからなかった人にも、正解が見えてくるというわけです。

そこまでやれ、とは強制しがたいし、いろいろなレベルの人がいる道場では習得困難な
技術を毎回毎回練習メニューに盛り込むことは出来ないのですが、
『技術を習得しに来るのが武道道場』なわけです。
道具の使い方が分かったら、人には使えない使い方をしなければそう何度も勝っていく
ことはできないわけで、そのために必要なのが、
『意識をしないとできるようになっていかない技術を、意識して行っていくようにする』
ということになります。

難しいと「できない」と思い、「これは俺の学ぶ技術レベルではない」と、そのつど思ってしまえば、
いつまでも初心者のままだ、と・・・。
跳び箱と同じで、一段目と二段目は一つ増えても飛ぶのは簡単ですが、
八段目を九段目に増やせば、飛ぶのは困難なのは当然です。
その難しさをこそ超えて、本当の意味での技術を見につけにきてほしいなと、
大工道具は豊富に揃っている道場生に、愛を込めて(笑)、お伝えしておきたいと思います。
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