雑記などのコラムです。
6月雑記(良師は三年かかっても探せ)
「子供には何を習わせたらいいですかね」
習い事に携わる人間として意見を求められたのでしょうか。
・・・こんなことを聞かれたことがあります。

「そりゃもちろんテコンドーさ!!礼儀、廉恥、忍耐、克己、百折不屈!
誰もが聖人君子のようになれますよ!!見学は随時無料!
折りよく厚木道場も現在道場生を大っ大っ大募集中でーーーーっす!!」
・・・みたいなことを言っちゃえばよかったんですが、(←なにが?)
そうじゃないので、今月のコラムが書けます。

大人でもひょっとしたらそうかもしれないのですが、
特に子供の習い事は「なにを学ぶか」じゃなくて「誰に学ぶか」だと思うんですよ。
なんでもよろしい。「空手」だろうが「野球」だろうが、「茶道」だろうが、です。
集団競技がいい、個人競技がいい・・・大人はそういいますが、
ラグビー13年(集団競技)、テコンドー20年(個人競技)やってきたわたしにいわせると、
たぶん、大事なことは競技の本質ではない気がします。

良師は三年かかっても探せ・・・と言いますが、その"良師"がなにをもって"良"とするかも、
人によって異なります。
例えば、私の方針は
「うまくなることも大事だが、それよりもテコンドーの楽しさを知って、よい思い出に残す」です。
どんなにうまくなっても「二度とやりたくない」と思うような指導では、たぶん格闘技が嫌いになる。
それよりも、一度テコンドーを離れたとしても、大人になって何か体を動かそうかなと思った時に、
「あ、格闘技楽しかったな」って思い出してもらえたら、人生の一つ楽しい要素として格闘技と再会できる。
そして長くライフワークになっていく。・・・そういうのが一番素敵なんじゃないかなと、
思うわけです。
この考え方自体は悪くはないですよね?たぶん。

そんな厚木道場が万人向けかと言えば、そんなことは決してありません。
「高校で日本一!ゆくゆくはオリンピックへ!!」みたいな考え方を持っている方には
わたしは"良師"ではありません。
正直、わたしはチャンピオンを育てられる人というのは「えこひいきができる人」だと思っています。
それも指導者の資質。そういうことを目指す人は蹴落とされることを覚悟で、
そういう師の下で学ばなければなりません。

そして、そんな中でも(面白さを一切排除してスパルタで教育しても)
そこから楽しさを見つける人もいれば、
オリンピックまで行かなくても、そういうタイプでなければ
自分自身の能力を伸ばしきれない人もいるでしょう。
逆に、私のような教え方でも伸びる子は伸びます。
うちの少年部が大会に出れば優勝している様を見てもそれは明らかだと思います。
つまり、伸びるかどうかはその人と指導者の相性次第。
だからそういう意味でも「良師は三年かかっても探せ」です。

ただ、私の言う「良師」の意味合いはちょっと違います。

子供たちがなにを見ているかというと、
競技それ自体よりもその師の姿勢や考え方なのです。
いや、もちろん、そこに競技がなければ会うはずのない、続くはずのない関係なんですが、
その師がなにを言い、それを言うにふさわしい説得力を持っているか。
その師にどれだけ信頼が置けるのか。好きになれるのか。
わたしはそれが重要だと思っています。
そしてそれは少年部だけでなく、成年部でもいえることではないでしょうか。
つまり"師"という人間の味です。

子供は、理解できなくても言葉それ自体を覚えています。
実は私の方針は少年の頃に習っていたラグビーの監督の方針と合致するのです。
ぜんぜんそんな意識はありませんでしたが、何十年もたってからその人に会い、
その頃の話をしていて、その共通点に驚きました。
つまり、師の考え方というのは、自分の考え方の基礎になるものでもあると思うのです。

だから、競技がどう、じゃない。自分が「人間として」信頼できる師を探すことが
一番大切なんじゃないかと思うわけです。
ぶっちゃけ、資質があれば誰が教えても伸びます。
逆に資質がなければ、とりあえず誰に教わってもオリンピックにはいけません(笑)。
たしかにテコンドーやれば体は柔らかくなるかもしれませんが、
うちのある道場生も言っています。
「体硬くても生きてはいける」
まさにその通り。(もちろん道場内では許しませんが(大笑))

だから、何かを始めるときは、競技それ自体よりも"師"を見るべきです。

・・・と、思います。
「近いから」とかね。やめなさい。(大笑)
大事な要素ですけども、「この師には教わってはいけない」と思える"師"も
たくさんいると思います。いや、マジで。
わたし、10年続けたラグビーが半年でキライになりましたからね。(その後3年はやりましたけど)


習い事つながりでもう一ついいたいのですが、親の姿勢も大事ですよ?
たとえば「時間を守れる人になれ」と言ったって、親が平気で遅刻するようじゃ、
子供がそうなるはずもない。
「武道は礼儀を教えてくれるから・・・」的なことをある方が言っていたのを聞いたことがありますが、
礼儀ってのは頭下げることや目上に「ですます」口調でしゃべることじゃありません。
親の姿勢が子供の習い事に及ぼす影響は非常に大きい。
信頼できる師を見つけたら、その方針に親が乗らないことには子供たちは混乱する一方です。
だから、なおさら「良師は三年かかっても探せ」なのでしょう。


ちなみに、だからわたしは自分からは自分の道場を勧めていない。
皆にとってわたしが良師であるかはわからないからです。
こんな眠たいこと言ってるからうちはあんまり大きくなんないんですねきっと。
経営ベタの道場経営、そろそろ19年目(18周年)に突入です。
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