雑記などのコラムです。
6月雑記
結局、強さと言うものは、「さまざまな事柄にどれだけ冷静に対処できるか」だと思います。

以前、何かのコラムで、「どんな状況でもいつも平静でいられるようになるために強くなる必要があります」
っぽい事を書いたと思いますが、これはつまり、極限状態でも適切な判断力を失わなければ、
自分の力を100%発揮できるということであり、いつも言うとおりマッソギ(組手)でも実社会でも共通して、
不可欠な要素であると言えます。

ところがこの不可欠な要素は非常に得難いものです。
理由は学者じゃないので、正確なことは言えませんが、
おそらく、人間には感情があるためです。

「やばい」とか「怖い」とか「だめだ」とか…マイナスの感情が頭を支配した途端、
判断力は著しく低下し、最悪、自分の力は0にも等しいものになってしまいます。

では冷静でいられるようにするための、テコンドー的な過程を説明します。

格闘技は相手のあることですから、その相手と対面した時に、
さっきも言ったマイナスの感情が支配する様ではいけません。が、
対面した時の感情は相手によってまちまちです。

例えば、3歳の男の子と、ヤクザと、それぞれ対面した事を考えれば、
気持ちの差は歴然なはずです。
それは言葉にしてみれば、それぞれ「こいつなら大丈夫」「こいつはヤバイ」と思ったからですよね。
相手と対面した時、芽生えるプラスとマイナスの感情の差し引きで、
プラスを残すために必要な要素は「自信」です。

その「自信」は「練習量」や「経験」から
…と、それらしい言葉を並べればどこかの教科書のようですが、
それはすなわち「自分の体が思うように動くようになること」なのだと言えます。
つまり、「こうなった時に自分はこうする」「ああなった時は…」というものを、
すべて身につければ(頭で考える前に体が動くようになれば)、
とりあえず何されても痛い思いはしないだろうって気になりますよね。
それが「自信」です。

それには理屈を知らなければなりません。
「こういう攻撃にはこれが有効で、これはやってはいけない」ということを、
感覚で覚え、同時に頭で考えることが大切です。

してそれには、蹴り、ステップ、防御などの「技術」が必要になってきます。
いくら有効な攻め方守り方を知ったとしても正確に的確な位置に移動し、
正確に蹴れなければ、それを実行することができないことはいうまでもありません。

で、その「技術」を身につけるために必要なのが、
「脚力、バランス、柔軟性、瞬発力」などの「基礎体力」が必要であることも論を待たないでしょう。

つまり、
「1、基礎体力を鍛え、
2、技術を身につけ、
3、理屈を知り、
4、その理屈を頭で考える前に実行できるようにし、
5、(その結果)気持ちを強く保てるようにする(なる)」
…5でようやく一番重要な精神が鍛えられるようになります。
(ただし、5は追求していけば底がありませんが・・・)

このように、上達の道は見事な縦構造になっています。
自分は今、どこの段階にいるかということを再認識してください。
そして、自分にあった目標を週に一つでも月に一つでも設けて、
それを一つ一つクリアしていけば、必然的に上達していきます。

ただ、自分の段階が完全にマスターできるまで、
上に進んではいけないわけではありません。
そんなことしたら1だけで3年近くかかってしまう(軍隊じゃあるまいし(笑))ので、
練習のレベルが自分のいる段階よりも上だった場合も、
がむしゃらにやってみてください。
…そうやって、いったり来たりを繰り返し、楽しみながら長く続けることが
結局一番の近道だと思います。
そして自分のレベルが上がれば以前やって意味がわからなかったことが、
容易に納得できるようになったりします。それが上達です。

「長く続ける」話が出たので、こんな話を補足しておきましょう。

私も厚木道場に限らず、色々なテコンドー入門者を見てきましたが、
長く続かない人の例として、
「○年やったけどあんまりうまくならない」(大体3以下の数字が入ります)
と、自分から諦めてしまう人(週一、週二ペースの人に多いです)。
逆に週4〜6ペースでやって3〜4年くらいたって、ある程度マスターした気になって辞めてしまう人
…それぞれ多く見受けられます。

彼らの多くはさっきのレベルでいけばだいたい1〜3をうろうろしています。
私に言わせれば、その後が重要なのに、本当にもったいない…。
もちろん私もテコンドーマスターと呼ぶには程遠い存在ですが、
かれこれ10年弱やってようやく分かってくることも多いです。

精神修養はとにかく時間がかかります。
でも、逆に言えば、ここまでやれば、人は必ず強くなるということです。

厚木道場生に限らず、自分でリミットを作らないで、
長くテコンドーを続けていってもらえればと思います。

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