雑記などのコラムです。
5月雑記(『構えろ』)
先日、厚木の一番街で通り魔騒ぎがあったんですよ。
実際のところは"通り魔ではなかった"らしいんですが、ナイフ持った何某が一番街を疾走したことは事実らしく、
その日の一番街は封鎖。警察も方々にパトカーを止めて物々しい雰囲気を漂わせていました。
結局これ自体は大した話ではない、が・・・。
(いや、抜き身のナイフもって走ってたら大した話だろうとは思うんですが)

でなくても、最近厚木は不審者が多い。
春になると変なのが増えると誰かが言ってましたが、殺傷事でなくとも、つきまといなどの被害を結構聞きます。
なんすかね。春の日差しにはブルーツ波でも含まれてるんでしょうか。
(ブルーツ波:ドラゴンボールネタ。月の光に含まれる成分で、満月を向かえた際、
サイヤ人を大猿に変えることができるヤツ(笑))
とりあえず真相は別にして、変なヤツが湧いてきてる厚木で、いつだれが、そういう珍種と遭遇するか分からない。
俺だけは絶対にないということもありえないと思うんですよ。そんな時どうするか。

ナイフ突きつけられても対処できるように鍛錬する。
掴まれても振りほどけるように対処方法を覚える。
護身のための何かを用意する。
・・・そういう、技術的、具体的なことは、確かにそうだと思うし、言うだけなら言えると思うんですよ。
しかし、実際にそれが体の芯にまで身についていなければ、いざという時に出ない(護身具にしたって使えない)し、
中途半端な抵抗は逆に危ないってことは3月にも触れたとおりです。

やるなら徹底的にやれ。それができないならやるな。

・・・『未来の10カウント』ってドラマ見てて、今の世相を思うと、こんなことは武道指導者がいうべきことではない
のかもしれません、と思いますが、私としては、これが護身の鉄則だと思います。
どんな理由があっても人は殴っちゃいけない?・・・はっ、笑えるわ。ウクライナに謝れ。

ではどうするか。
逃げられるもんなら逃げればいい。
私個人的な立場としては別の考え方と信念がありますが、ここで豪語するものでもないでしょう。
一般的には逃げられるなら逃げるのがいい。
そんななら、未経験者と武道経験者なんて・・・いくら護身術を習ってたって変わらないジャン。
・・・という方。その考え方自体がかなり"未経験者"だと思います。
"ヘビに睨まれたカエル"という言葉がありますが、実際、相手と対面することにも慣れてない人たちの多くは、
"逃げることすら"できない。もちろん、性格や気質にもよると思うんですが、オーバーに言えば、
格闘技をやって、ようやく"逃げることができる"って選択肢も選べるんじゃないかと。

問題は逃げられない時。どうするか。
実際、どうしようもありません。
逃げられないほど追い詰められるという状態は、基本的に劣勢だからなります。
それは人数かもしれないし、武器の携帯かもしれない。なににせよ、相手が自分に対して優越感を持てる状態が
その場に成立しているから、そういう状況になりえます。
実力如何によってはそれを跳ね返せる攻撃力を持っている可能性もありますが、
たとえ個人的な戦闘力が如何に高くても(例えば何かの格闘技の世界チャンピオンクラスでも)、
相手の規模によっては「劣勢」という状態は普通に成立しうるでしょう。
もちろん、ここを書いてる私自身もそうです。

くりかえし、そういう時、どうするか。
これは、今は師とも呼べなくなった師匠の教えです。『構えろ』
いや、真理だなと思うので、このページで使用を断わって使わせていただきます。『構えろ』

今までも何度か言ってきたように、"強さ"とは、何かあった際に、どれほど平静でいられるか・・・だと、私は思っています。
蹴りが強いだの組み技が強いだの、という技術的なものは現代社会に通じるものではなく、
実生活に役立つ"強さ"というのは、そういう平常心をどれだけあらゆるシーンで持続させられるか・・・なのだと思います。
平常でいる時、人間は自分の脳を100%使って、正しいと思える判断ができる。
それが有事になるほど浮き足立って頭真っ白になって脳が使い切れない。
とすると、浮き足立つほどに誤判断を誘発するわけですから、それだけ身に危険が及ぶ確率も高くなる。
逆に言えば、どのような状態でも平常心でいられることが、自分の判断を誤らない"強さ"なのではないかと思うわけです。

その平常心を作るため、武道家はいっぱい怖い思いをして痛い思いをしてつらい思いをします。
「あれに比べりゃこんなこと・・・」と思えれば、"こんなこと"が起きてる最中も心は驚きません。

それほどの有事が起きた際、自分が冷静でいられなくなった時、とにかく『構えろ』。
道場で行っている自分の構えを見せることができた時、きっと、道場でやってきたいろいろなことを
思い出すんじゃないかと思うんです。
その時、自分にどれほどの自信が戻ってくるかは、道場でどれほど努力したかにかかっているとは思うのですが、
少なくともそれで一つでも気持ちが落ち着くことがあれば、冷静な判断力に一歩近づくわけですよね。
それでも落ち着けなければフットワークでもしてみられればいいかもしれない。
とにかく、"自分はいつもの環境に身をおいているんだ"という気持ちを作ることが、
有事に冷静さを失ってもそれを取り戻す方法なのではないかと思うわけです。
その結果、なんともならなくても、少なくとも平常心を持って最善手を選択できる状態を作れるほうが
賢明に動けることは間違いないんじゃないでしょうか

『構えろ』・・・確かに、そうだなと思います。
そしてそういうことで気持ちを落ち着ける可能性をもてるんですから、
やはり自分の身を護ろうと思い、格闘技に触れてみることは、未経験でいるより、
アドバンテージなのだと思います。たとえ実際に相手を殴らなくても、です。

まぁしかし、アレですね。
なによりなにより、そのような有事が道場生の間に一生起こらないことを祈ります。

TOP
HOME
ATUGI... TAE... KEIKO COL... ACC... BBS MAIL LINK