雑記などのコラムです。
5月雑記(俺のパンデトルリョチャギ)
皆さんは、好きな連続技や、単体の蹴り、こだわりのある攻撃みたいなのってありますでしょうか。

私はパンデトルリョチャギが好きです。
しかし当初はどうしてもうまく撃てず、何とか撃てるようになってきていたトラヨッチャギが
(回転するという意味で)似ていたので、「この形を変形させて、トラヨッチャギが撃てなくても
パンデトルリョチャギがうまく蹴れるようになればいいや」と、トラヨッチャギの形をわざと崩して練習するほどでした。
それでパンデトルリョチャギが得意になり、組手をする上での一つの柱となったわけですが・・・。

極論ですが、戦いの準備をする段階で、
「100の力を好きな蹴りに振り分けてください」
という話になった時に、
私は「5つの蹴りに20ずつを振り分けるよりも、1つの蹴りに100を振り分けた選手」
の方が強く戦えると思っています。
ここが実は、蹴りを多彩に練習しなければならないテコンドーの(格闘技としての)一つの弱点だと
思っていますが、ともかく、一つでも突出したものを作れると、実際に強いんです。なぜか。

その蹴り自体に自信がついて、思い切って振れるのもそうなんですが、
それ以上に、そういう危険度の増した蹴りを相手が気にしてくれるようになると、
それを囮にして戦略が立てられるようになるので、戦いの幅が広がるんですよ。
全体的に怖い攻撃がないと、それはない。

もちろんさっき言ったように「100を1つの蹴りに振り分けて」他の蹴りがまったく撃てない状態だと
戦いの幅も何もありませんが、ともかく、「自分の得意技はこれだ」ってことが、
試合の日に相手に伝わるくらいうまくなっておけるのは武器だし、
少なくとも私にとって、それはアドバンテージの一つでした。

要するに、強くなりたいなと思えば、まずそういう基点になる攻撃を身につけることが大切。
なんとなーく道場でやっていることを消化していくだけではなく、
「この蹴り!この攻撃!このタイミング!!」って奴を自分で作っていくことをオススメしたい。
恐らくこれはテコンドーに限らず、どんな格闘技でもいえることではないかと思います。

じゃあ基点になる物を定めたら、どうやってうまくなっていくか。
まずは撃つしかない。死ぬほどいっぱい撃ちましょう。
私パンデトルリョチャギを毎日足の皮がむけるくらいまで練習し続けて、
初めて組手で当たったのは約一年後です。
「コレ撃たなきゃ」なんて思ってる間はなかなか当たるもんじゃない。
「あぁ!出ちゃってた!当たっちゃった!ゴメーーーン(←謎)」というくらいの数を撃って、
初めて実戦投入に足る性能となります。

知ってますか。当たるパンデトルリョチャギというものは、見えないんです。
いや、漫画の話ではなく、速度が速すぎてという話でもなく、これは、実際に食らってみれば分かります。
当たるパンデトルリョチャギというのは見えない。気がつきゃ当たってるし、目の前が真っ黒になってたりします。
逆に、見えたパンデトルリョチャギというのは当たらないんです。
つまり、わざとらしく、これ見よがしに撃つパンデトルリョチャギなどというものは当たらない。
相手が思いもしないタイミングで撃たなきゃ当たらんわけですから、そうそう意識をしている時なんて
当たるもんじゃないわけです。

意識しないでも撃てるようになるまで、まず撃たなければならない。
カラでいいので、まず一人でそこまで追い込みます。
そしたら次、阿呆のように組手で撃ち続けます。
対人練習の時、チャユマッソギをするなら必ず撃ちます。
読まれてるとか関係ない。同じ道場の人たちならだれでも「こいつがコレを使ってくる」と知られていいです。
実際の組手練習で使わないと、当たるタイミングなんて分からない。
もちろん私という凡人を基点に考えているので、天才は違うのかもしれませんが、
とにかく阿呆のように撃ち続けて、初めて分かることがあります。

組手の中で100回蹴って、99回当たらないとしましょう。
1回当たった。・・・たぶんそんなのは偶然でしょう(笑)。
ならこの100回は無駄だったか。
そうじゃない。「その99回のタイミングでは当たらない」ということを学べるんです。

99回分全部を、どのようなタイミングとケースで撃ったかなんて覚えてないとしても、
恐らくその何回分かは覚えてると思います。
次からは、そのタイミングで、撃たなきゃいいだけの話です。
少なくともそれだけで命中精度は上がった・・・とは言えませんか?
そのタイミング"ではない"タイミングで撃った(例えば))パンデトルリョチャギは、
100回撃つ前よりも当たりやすいパンデトルリョチャギとなるわけです。
それをまた100回繰り返す・・・
そうやって、当たらない経験が正解に近づく方法でもあるわけですから、
「コレ」と決めた技は当たろうが当たるまいが使い続けることが、少なくとも私くらいの凡人なら必要です。
(あと、100回も撃ってると、相手がその対策をしてきます。その対策をも攻略できるよう
また試行錯誤を繰り返すことによって、これもまた精度が上がる要因となります)


そうやって育てた蹴りや攻撃で相手が倒れた時、その日は最強にハッピーです(笑)。
でも、そうなるためには、まず、「コレ」というものを決めるべきだと思うんですよ。
私自身もよく言うのですが、

戦いで一番楽しい瞬間は、自分の思い通りになった時。

なんです。でもそれには大切な前提条件があって、

「なにが自分にとっての思い通りなのか」

を、決めなきゃ、「思い通り」というもの自体が自分の中に存在しないわけです。
「思い通り」を作るために、自分が何がしたいか、何をとりえにするのか(何を得意にするのか)
を決めなければならない。

私はそれがパンデトルリョチャギでした。さぁ皆さんはなんですか?
・・・と、そういう話です。

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