雑記などのコラムです。
4月雑記(岐阜テコンドー20周年)
2015年4月19日、岐阜の土田師範の道場が20周年を迎えました。

何か一言しゃべれと言われたら
「200歳のばあさんが220歳になってしまうというものすごい年月」
という掴みから何か語ろうと思ったのですが、その機会はなく、
わたしも岐阜の真っ只中でスベらずに一命を取り留めることができました。

その昔、わたしは自分の師範に
「はじめることは簡単だ。物事を続けることが難しいんだ」と言われたことがあります。
自分で始めてみるとなるほどその通りで、岐阜テコンドーも続けて続けて20年。
・・・うちのような補給基地もない海賊船とは別の意味で、東海地区という大きな「艦隊」を率いて、
組織の中で舵取りをしなければならなかった苦労も並ではなかったでしょう。

ITFの20年が決して穏やかではなかった中、土田師範のような方は損や理不尽を
強いられることもさぞ多かっただろうと思うのです。

この苦労って、道場長にしかわからないところもあるのではないかと思います。
道場長ってあるところ、どんなに有能な片腕がいたとしても孤独なものです。
結局決断は、責任は、道場の存続も廃止も、すべて一人の手にゆだねられているからです。

土田師範がこの20年のどこかで、「もうやーめた」といえば、
岐阜テコンドーは残ってないでしょう。
そういう権利を一人で持っている人は、やはりどこかで孤独なのです。

苦労や損や理不尽と戦って戦って戦って、孤独の中で築いてきた20年はやはり、
なにものにも変えがたい意地の結晶、土田師範の強さの証なのだと思います。


パーティの目玉は土田師範の下での新師範の誕生でした。

厚木道場の人たちは「師範」というものがどう誕生するかをあまり知らないかもしれませんが、
単純に四段の帯を受け取った時点で「師範」となります。

なんだそんなことかと思いますかね。
テコンドー四段というのは、他の武道は知りませんが、ただ年月と実力を積み重ねて
きただけでは取らせてもらえない段位であり一段、二段、三段が勾配の急な階段なら
四段目は壁・・・といったイメージです。
道着も変わります。一目見て格好が変わりますので道場内にいると雰囲気が異様です。

ただ、今回新師範誕生で、本当に大切なことは
個人が四段にのぼりつめたことではなく、それにより道着が変わったことでもなく、
岐阜で始めた人が岐阜で師範を取ったことなんじゃないでしょうか。

己の強さというのはオノレのためにあるものですが、
「師範」という称号は、それを学ぶ者のためにあります。
だって、誰もその下で学ばなければ「師範」でも「師範」になれないわけですからね。
「学ぶ者がいてこその師範」なわけです。

岐阜で始めた人が岐阜でテコンドーを教えられる人になった。
その人の洗練された技と努力を岐阜の人たちが見て、
「自分もあの人みたいにがんばればああなれる修練の場にいるんだ」と、
そういう鑑ができたことが何よりもすばらしいことなんじゃないかと思うんです。

自分のためじゃない。人のためのテコンドー家。
岐阜テコンドー界のためのテコンドー家。そして、日本テコンドー界のためのテコンドー家。

そういう人の誕生を土田師範は何より喜んだだろうし、もっと言えば、跡取りができた気持ちでしょう。

先ほど言った、たった独りで戦ってきた20年を、次の20年は独りじゃないんだと思える喜び・・・
テコンドーにいい加減嫌気がさして「もうやーめた」と言っても、
自分が培ってきた岐阜テコンドーの血脈は絶えないと信じられたことが、
なによりの、「20周年、おめでとう」なのではないでしょうか。


同時に、先ほども述べた「学ぶ者がいてこその師範」。
土田師範は20年を独りで戦ってきたけれども、その戦いには、
岐阜の人たち一人一人の存在が欠かせなかったことは間違いないと思うんです。

土田師範が如何につらくても「もうやーめた」にならなかったのは、
土田師範の強さもあったでしょうが、岐阜のテコンドーの歴史を、
岐阜の人たち一人一人が歩んでくれたおかげでもあると思うんです。

気に入らないことや許せないことに馬鹿馬鹿しくなってもうやめたろと思ったとき、
何が助けてくれるって、トルリョチャギもまともに蹴れない少年部とか、
全然不器用でもいつまでもいつまでも来てくれる人たちの、
「テコンドーが好きだ」っていう何気ない一言だったりするんですから。

そういう意味で、岐阜のテコンドーの歴史を作ってきたすべての人に、
「20周年、おめでとう」なのだと思います。


そしてうちは、岐阜がいなくなると喧嘩相手がいなくて困ります。
そういう意味で一言言いたい。

岐阜道場20周年、ありがとうございます!(大笑)


パーティに招待いただいたお礼もかねて、岐阜の人も気付かないであろうこの場所で
こっそりご挨拶と代えさせていただきます(笑)。

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