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医者に言わせると、
「世の中にカゼを「治す」薬はない」
そうです。
どんな薬も、どんな治療法も患者の回復力を促すものであって、それ自体が治しているわけではない。
格闘技も同じです。
わたしは、というか格闘技は、人を強くさせるお手伝いをすることはできますが、人を強くすることはできません。
すべて同じだと思います。
強くなろう、自分を変えよう・・・夢や希望や目標は、すべて自分の意志にかかっています。
他人は、助けることはできても、その人を実際押し上げていくことはできません。
わたしは、(例外はあるものの)武道格闘技の門を叩く人はなんらか自分の弱さがあるからこそ、
そういう世界に興味が出るものだと思っています。
ここを、「俺は違うよ」といわれたら以下の話はまったく無駄話になってしまうのですが・・・(笑)
人の強さは力の強さや技のキレじゃない。
人に礼儀正しくできる自分の自信だったり、
どんな困難をも受け止めようとする忍耐力だったり、
心折れても立ち上がる不屈の気持ちだったり、
そういう要素が、「人の強さ」なんだと思います。
(というかテコンドーでは五大精神というものでそう教わります)
でも、こんなことは日々いいませんから、忘れるんですよね。
具体的に蹴りが強いのが、タイミングよく攻撃できるのが、頑丈なのが「強さ」で、
怪我をしたから、仕事が忙しいから、伸び悩んでいるから
・・・「〜〜できない」という要素で自分の中にある「強さ」はいくらでも揺れ動いてしまいます。
今のは余談ですが、そういう「本当の強さ(意志、忍耐など)」みたいなのを得るのに、
「世の中に風邪を治す薬は、ない」んです。
武道の指導員なんていうのも所詮薬であって、
自分が、そうなっていけるように、思い続ける、願い続けることしか、自分を強くする方法はありません。
わたし昔ラグビーをやっていたころともかく忘れないイタイ一言をもらったことがあります。
「そうやって、自分に負けていくんだ」
わたし高校のころの監督大嫌いだったんで(大笑)その人に言われてもなんとも思わなかったんでしょうが、
これはその人ではない、もう一人の部活の顧問(コーチ)に言われた一言でした。
20mくらいつらいことしなきゃいけないのを18mくらいでやめたときかな・・ちょっと忘れましたが。
人間ってのは、どんなことがあっても、自分があきらめなければ、ずるしなければ
負けないんだと思います。
負けるときは、自分に、負けるんだと、自分に負けたとき、自分は負けていくんだなと、
・・・このときの衝撃がその後十数年たっても残っています。
自分を変えたいと思った。強くなりたいと思った。
これに抗っている最大の要素は、「自分に負けようとする弱さ」なんです。
そしてこれに打ち克つのも、自分の「自分に勝とうとする意志」でしかありません。
ここをお手伝いすることはできないし、わたし自身もいつもいつも「自分に負けようとする弱さ」に
ボコボコにされてます(苦笑)。
でもどんなことでも、自分が負けというまでは、負けではないということ。
困難は必ずあります。
それを迎えて、強くなりたいなら、つよくなってほしい。
そういうつもりで、自分の意志をこの道場で戦わせてもらえたらと思います。
今回のコラムはちょっと逃げ場の少ない言い方であまりいい論調ではありませんが、
自分に負けそうな人たちへ、このコラムを送ります。
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